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note掲載2026.11.01

ものづくりに関わる人が、もっと報われる世の中にしたい Noahlogy第1号社員のものづくりへの情熱

ものづくりに関わる人が、もっと報われる世の中にしたい Noahlogy第1号社員のものづくりへの情熱

山本幹久は、Noahlogy第1号の正社員だ。
現在の役割はカスタマーサクセスとプロダクトマネージャーに近い。
その肩書きから想像される仕事と、山本の実務は違う。

山本は月の半分を、顧客である造船所の設計現場で過ごしている。そこで見たことをプロダクトに反映していく。それが彼の仕事だ。
なぜ、そこまで現場にいるのか。理由は、彼がものづくりについて考えてきたことにあった。

生き物の仕組みに興味があり、ロボット工学へ進んだ

山本は東京大学大学院でロボット工学を専攻した。子どもの頃から、機械とものづくりが好きだった。そこにもう一つ、生き物への興味が重なっている。
「生き物って一番身近なのに、よく分からないじゃないですか。なんで動くのか。自由に動かせるけど、でも曖昧でよく分からないな、だからこそ面白いなと思っていて。そこから知能みたいなものに興味を持ちました」
知能に近い領域としてロボット工学を選び、その中でもバイオ系に近い研究で生き物を一から作ることを目指した。一方で、ソフトウェアそのものへの関心は強くないという。
「どちらかというと、それが知能と結びついて動いている、というところのほうが面白いんです」
動くものを作りたい。この好奇心が、のちに海事という領域につながる。

面白い仕事ほど、大変だった

研究をする中で、山本はあることに気づく。面白い領域ほど、大変な作業が多いということだ。
バイオ系の研究もそうだった。細胞を育てる世話があり、地道な作業が積み重なる。本来は面白いはずなのに、その大変さが理由で離れていく人がいる。

「それは率直に悲しいと感じました。本質的に面白いものを、面白いと思いながらみんなが取り組めるようになったらいいな、と思いました」
この感覚が、いまの仕事につながる出発点になっている。

当初は研究者を目指していた。進路が変わったのは、大学院を1年休学してスタートアップでインターンをしていたときだ。そこで出会ったベテランのエンジニアが、毎日楽しそうに働いていた。自分の仕事が社会にどうつながるのかをいつも考えている人だった。

「自分の取り組みと社会とのつながりを、ものづくりを通して持ちたい。研究もいいけれど、企業じゃないとできないこともあるな、と思いました」
新卒で大手理化学機器メーカーに入社し、分析機器の開発に携わった。

副業から、正社員へ

Noahlogy に関わり始めたのは、2025年の秋だった。知人の紹介で副業として参加し、当時は京都に住んでいたためオンラインで働いていた。AI へのプロンプトを大量に書いていたという。

「プロジェクトが立ち上げの段階だったので、そもそもこういうことができるのかな、という検証をひたすらやっていました。当時は AI の性能も今より低かったので、プロンプトを工夫しないといけなくて」

3か月ほど手伝った頃、代表の福重から連絡が来る。
「本業を1週間やりきったと思っていた金曜日に、急に福重さんから『オファーレター書いたんで明日面談しましょう』と DM が来ました。で、翌日面談に出たら、明日から社員として Noahlogy に来てもらってもいいですか、と言われました(笑)」

山本はこのオファーを受け、2026年1月1日に入社した。
決め手を聞くと、こう答えた。
「こういう経験って、あんまりないなと思って。最初で最後かもしれないから思い切ってみようと」

以前、ある研究者の講演で聞いた言葉も残っていた。
「思うたらせにゃ」

もちろん不安はあった。それでも、一度決めたのだからまずやってみる。駄目だったらまた考えればいい。偶然入ってきたチャンスに、そうやって一つずつ挑戦してきた人である。

1隻ごとに違う船を作る、という面白さ

山本には、ものづくりについての考えがある。
「形あるものをつくるって、結構難しいと思うんですよね。関わる人もすごく多いし。その大変なプロセスを作り上げて、それが物理的に人に届く。すごく大変だけど、素敵なことだなと思っていて」

だからこそ、その大変な仕事に携わっている人たちには、報われてほしい、幸せであってほしいと考えている。
もう一つ、彼が強く惹かれているものがある。1つずつ違うものを作る仕事だ。

「大量生産よりも、1点物のほうが付加価値は大きいと思っていて。その分、特定のユーザーさんに大きな価値を届けられる」

船は、まさにそれにあたる。1隻ごとに船主がいて、要望があり、役割があり、思いがある。その一つひとつに応えていくのが、Noahlogy の仕事だ。

「1隻あたりの価値が、深く特定の方に刺さる。そういう構造になっているのが、すごくいいなと思って」

その現場で、山本が担っているのがカスタマーサクセスとプロダクトマネージャーの仕事だ。開発チームと営業の間に立ち、同時に顧客との間にも立つ。複数の顧客先を移動しながら、どこかの現場にいる状態が続いている。
期待されている役割を、彼はこう説明する。

ユーザーの困りごとを把握し、開発とオペレーションを通して、使える工数の範囲で最大の価値を届けること。

現場に行かないと分からないことがある

顧客と一緒に進めるうえで、一番難しいのはどこか。山本が挙げたのは、どこまで自分たちでやり、どこから顧客に頼るかの線引きだった。

「自分たちだけだとどうしてもできないことがあって、ある程度はお客様の力も借りないといけない。でも何でもお客様に聞くとなると、負担をすごく増やしてしまう。そのバランスが、ずっと難しいなと思っています」

自分なりのルールは、はっきりしているという。
「まず、分からないことは自分で勉強して調べる。それが前提です。でもその中で、現場でしか分からないことは絶対にある。長年の中で積み上がってきたノウハウや、慣例上のルールのようなものは、僕らがどれだけ勉強しても出てこない。そういうものについては、お願いして教えていただく」

調べられることは全部調べてから行き、その上で聞く。どこまで理解したうえでの質問なのかが相手に伝わるので、やり取りが噛み合いやすくなる。

現場に行く意味を聞くと、山本は「生の空気感」という言葉を使った。
「1日、現場のデスクをお借りして皆さんの雰囲気を見ていると、こういうところで忙しいのかな、こういうソフトを普段ずっと見ているんだ、電話でのやり取りがすごく多いんだな、と分かる。言葉には出てこないけれど、雰囲気としてにじみ出てくる困りごとを感じられる。それが現地に行くことの価値だと思います」

実際に、現場での観察からプロダクトを改善した例がある。
開発した機能を持ち込んで使ってもらったとき、思ったほど使いこなしてもらえなかった。画面を操作しているところを隣で見て、原因が分かった。ある情報を表示すると、別の情報が隠れてしまう。それでは作業にならない。
もう一つ、より大きな気づきがあった。

「AI に馴染みのある人とそうでない人とでは、前提がかなり違う。何かをやってほしいとき、AI にどこまで何を伝えたらいいのか分からない、ということがあるんです」

そこで彼が考えたのは、ユーザーに伝え方を覚えてもらうことではなかった。足りない情報は、AI の側から聞き返せばいい。その機能を実装し、現場で使ってもらった。

「すごく便利だ、という感想をいただきました」

プロダクトはまだ開発を始めたばかりの段階だと彼は言う。だからこそ、使う人がそのまま使える状態まで持っていく必要がある。そのために何が足りないかは、現場でしか分からない。

誇りを持って働く人たちの、力になりたい

造船の現場で働く方々について、尊敬しているところを聞いた。
「皆さん、船を作ることに対して誇りを持っていらっしゃる。自分のやっていることに対しての誇りです」

もう一つ挙げたのが、技術やものづくりの話題になったときの表情だった。
「楽しそうに自分の仕事の話をされる方に多く出会います。技術者としてすごく素晴らしいな、尊敬できるなと思います」

そうした人たちと働く中で、彼の中に一つの願いが生まれている。
「海事・造船は本当に素晴らしい産業だと思っています。そこに携わっている方々が、もっと報われて、もっと幸せに過ごせるようになったらいいなと思っています」

それはプロダクトだけでは実現できない、とも考えている。
「僕らのプロダクトだけで達成するのではなくて、業界全体でそういう社会を実現したいと思っています。Noahlogy はその中で、新鮮な感覚を届ける役割を担いたい。それが刺激になって新しいものが生まれていったら、業界全体で希望のある未来に向かっていけると思っています」

このチームで働くということ

チームの雰囲気を聞くと、明るく元気な人が多い、という答えが返ってきた。
「毎日、みんなあらゆることを面白がってやっている。そういう雰囲気があるなと思います」

Noahlogy の特徴として彼が挙げたのが、経営陣との距離の近さだ。
「遠くなってしまうと、実際に手を動かしている人と、上で考えている人とで分離してしまう。上はこう考えているけれど、下はこうやっている、というずれが起こりやすい。それが防げるんです。むしろ、細かくコミュニケーションすることを求められている。だから会社全体として一つの方向に向かえる」

入社から9か月で変わったことを聞くと、考える範囲が広がったと答えた。顧客から出てくる要望をそのまま受け取るのではなく、一段整理して捉える。会社として長く続けるためのビジネスの視点を持つ。長期で達成したいことのために、いま優先しないことを判断する。

最後に、同じような働き方をする人に向けて、この会社で何ができるのかを聞いた。
「特定のドメインに深く入り込んで、特定の方に深く刺さるものを作れるポテンシャルがある。それがすごく面白いと思っています。自分たちのやったことが、海事産業全体のサプライチェーンの中で存在感を持って、業界全体をより良くできるポテンシャルもある。深く一つのドメインに突き刺していける。それができるのは、すごくいいなと思います」

山本は今日も、造船所の現場にいる。
ものづくりに関わる人が報われて、面白いと思いながら働ける世の中にするために。